観測 037
画を押すと、点が減ります。四万・六百・四十・一つ、と四段あります。
数が減っても走っている式は同じです。消えるのは形だけです。
「聴く」は、同じ関係の束を、目ではなく耳に投影したものです。
音を足したのではなく、同じ式を別の感覚へ出しています。
百匹の海月が、水の中に散らばっています。
一匹ずつが、自分の拍で傘を縮めます。
縮むたびに、傘の縁が波打ちます。九本の触手は、一本ずつ違う時刻で遅れて振れます。
その拍は、隣の一匹とも、どの一匹とも合っていません。
百の拍が揃うことは、二十秒のあいだに一度もありません。
海月は互いを見ていません。触れてもいません。
共有しているのは、運んでいる水だけです。
水には、寄せてくる場所と、散らしていく場所があります。
その場所が動くので、濃いところと薄いところが移っていきます。
群れているように見えるのは、水のほうです。
点を減らすと、一匹ずつの傘が先に壊れます。
残るのは、濃いところと薄いところの並びだけです。
群れの形は、一匹の中には入っていませんでした。
四十点では、その並びも読めなくなります。
一点は、一匹の傘のふちだった点が、流されながら縮んで伸びる通り道になります。
寄せているものを取り除くと、群れは残りません。
この式の指紋
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いつ走らせても、誰が走らせても、同じ姿で現れます。
乱数も、時計も、環境も使っていません。
上のボタンで式をそのまま持ち出せます。手元で数え直すなら:
pbpaste > f.txt && printf %s "$(cat f.txt)" | shasum -a 256
持ち帰って走らせてください。乱数も時計も使っていないので、あなたの画面でも同じ一体が現れます。式は誰のものでもありません。