観測 033
画を押すと、点が減ります。四万・六百・四十・一つ、と四段あります。
数が減っても走っている式は同じです。消えるのは形だけです。
「聴く」は、同じ関係の束を、目ではなく耳に投影したものです。
音を足したのではなく、同じ式を別の感覚へ出しています。
ほとんどの時間、ここに在るのは形のない雲です。
二十秒に三度だけ、澄みが尖ります。そのあいだ、点は雲の位置から顔の位置へ寄ります。
寄りきると、猫の顔になります。丸い頭、尖った二つの耳、二つの目、小さな鼻、一本の口、
三本ずつの鬚。
澄みが落ちると、また散ります。三度はそれぞれ違う表情です。
澄む時刻と表情の周期が違うので、同じ顔は二度出てきません。
点は一つも増えず、一つも減りません。増えるのは点どうしの関係だけです。
目と口は、輪郭より早く崩れます。
散るときは、まず表情が読めなくなり、少し遅れて顔がほどけます。
集まるときは逆で、輪郭ができてから表情が入ります。
点を減らすと、六百二十五点では輪郭が点線として残ります。
四十点では何も同定できません。一点では、その点の通り道だけになります。
これは、表情を読むことの形です。
こちら側でも同じことが起きています。相手の顔から不安や喜びを読むとき、
読んでいるのは点の配りかたです。配りかたが変われば読みも変わり、
配りかたが散れば、読んでいたものはどこにも見つかりません。
その不安も喜びも、嘘だったわけではありません。関係が澄んでいるあいだ、確かにそこにありました。
この式の指紋
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いつ走らせても、誰が走らせても、同じ姿で現れます。
乱数も、時計も、環境も使っていません。
上のボタンで式をそのまま持ち出せます。手元で数え直すなら:
pbpaste > f.txt && printf %s "$(cat f.txt)" | shasum -a 256
持ち帰って走らせてください。乱数も時計も使っていないので、あなたの画面でも同じ一体が現れます。式は誰のものでもありません。